カルチャースタディーズ研究所インタビュー 第3回
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共立女子短期大学教授 渡辺明日香さんに聞く
若い子はスマホで好きなファッションを見つけるけど同じ
格好をする。そしてメイクでちょっとした違いを出す。
インタビューと文|カルチャースタディーズ研究所 三浦展
2026年6月12日収録|2026年7月29日公開|2/3ページ
トレンドの変化と現在の状況
三浦|30年以上ファッション観測をされてきて、トレンドの変化をどう思われますか。
渡辺|今はトレンドがあるようでない。多様化しすぎているし情報も多い。スマホで画像を見て自分の着る物を選ぶので、雑誌時代と比べると、「これ」というキーワードでは表せません。
それから今の若い子たちは寛容ですね、他人の価値観、ファッションに対して。だからまあ、何でもいい、その人が良ければ、似合っていれば、という感覚。
三浦|ですよね。
渡辺|学生たちも入学したばかりのときは、割ときれいめな服装をしていることが多いのに、2年生以上になると、ジャージやスウェットを着る学生の割合が増える。2年生より上の3割ほどは、そういうラフな服装です。体育の授業や部活の朝練習のあとに、着替えて普通の授業に出るのは面倒くさいという意識もある。でも、メイクやネイルはばっちりする。
撮影|渡辺明日香
三浦|K-POPの影響もありますよね。
渡辺|そうです。「韓国語」の授業を取りたい学生がとても多いです。
三浦|実は私は隠れBLACKPINKファンでして、日本公演も2度見ました。
渡辺|え、ほんとですか?(笑) 最近は、K-POPに加えて、T-POPなど、タイの文化にも関心を寄せています。生活科学科にタイのポップカルチャーが専門の教員がいますが、その先生の授業の人気も高いです。
三浦|なるほど。BLACKPINKのメンバーの1人であるリサはタイ人で、めちゃくちゃダンスがうまいですよね。BLACKPINKの妹分のBABYMONSTERもタイ人が2人。これも来日公演を見ました。おととしバンコクにも行きましたが、日本と似た「微笑みの国」であり、やわらかな印象で、街の中の彩りもきれいでした。料理の味も良くて、まったく私はホームシックにならなかった。
渡辺|そうですよね。
三浦|彼女たちの影響力は絶大です。韓国はもちろん、中国、アジア、世界中です。彼女たちは単に美しい、可愛い、カッコいいというだけでなく、女性を解放する役割がある。ジェンダー論的に面白い存在です。K-POP全部がそうというわけではなくて、可愛い、コケティッシュを売りにしているグループもあるけど、BLACKPINKは可愛いけど、強くて、男と対等です。
渡辺|ジェンダー的な視点は重要です。女性だから女性らしい格好をする必要はないと今の学生は思っている。1986年に施行された「男女雇用機会均等法」をきっかけに、女性が自分で稼いだお金を自分のために消費するようになりました。しかし当時の女性ファッションはコム デ ギャルソンなどを除くと基本はフェミニンです。
しかし90年代になると「渋カジ(渋谷カジュアル)」が登場。中性的で自分らしく着こなすようになる。今ジャージやスウェットが流行るのは、90年代のスタイルがリバイバルしてきている面がある。私はファッションのリバイバルを研究しているので、そう思います。
また今は、着ている物はラフなのに、ヘアスタイルやネイル、まつげには気を遣う。すごく長い派手な色のネイルを付けるとか。
三浦|なるほど。私の行ったアンケートで、商品の選択基準として「シンプル」を選ぶ人は50代で最多だが、若くなるほど減るのに対して、若い人では「ちょっと変わった」を選ぶ人が多いことと関連しているかもしれません(三浦展『ウェルビーイングな日本』[而立書房、2025]pp.231−233、pp.258−263参照)。
渡辺|カットソーとデニムなど、服そのものはシンプルでも、バッグにマスコットをじゃらじゃらと付けていたり、デザインは普通でも、フリルやレース、チュールなどの質感のある素材を用いたファッションが好まれていたりして、SNSの影響なのかなと思っています。
