2026年6月12日収録|2026年7月29日公開|1/3ページ
アイドルのような服が着たかった
三浦展|なぜいつからファッション観測を始めたのですか?
渡辺明日香|私は子ども時代、1970年代から80年代にかけてですが、栃木県の田舎に住んでいまして、町にはあまりファッションを売る店も少ないようなところでした。私は普通にアイドル好きな子だったんですね。山口百恵とか。
それで自分もテレビに出たいなとか、アイドルのような服が着たいとか思っていたんです。ところが母は、良い物を着るべきだ、流行は追わないという人で、シンプルな服しか買ってくれないのです。友達は少女マンガ風の可愛い服とかリボンの付いたジャンパースカートとかを着ていたのが羨ましかった。それで友達の服をよく観察するクセがついたんです。
それで今度は好きな服を着せてもらえないなら、好きな服を作るファッションデザイナーになりたいと思うようになった。でも、高校の先生から、「あのね、明日香さん、ファッションデザイナーで自立できる人ってのはほんの一握りの人だけなのよ」と言われて、じゃあ、とにかくファッション業界には入ろうということで、今教職に就いている共立女子大の被服学科に入学しました。アパレル企業で企画をするとか、ファッション雑誌の編集とか、そんな仕事に就ければいいなと思っていたのです。
ところがです。91年に大学に入って街を歩く人々のファッションを観測している人がいるっていうことを知ってびっくりしたんです。それが三浦さんもいらしたパルコの『アクロス』の「定点観測」だったんです。
三浦|へえ!
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ストリートファッションの発見
渡辺|ほんと、雷が落ちたように衝撃を受けて、こんな仕事があるのか、こんなやり方でファッションを研究できるのかって。モデルの着たファッションではなくて、ストリートを歩く人たちの生のファッションをね。しかも社会学的に。これがやりたいって思った。マーケティングも社会学も知らなかったのに。
三浦|子ども時代の観察が仕事にできると気づいたのですね。
渡辺|はい。それで自分もストリートファッションの観察活動を始めた。大学3年からですから94年から、以来32年間、400回以上続けています。
三浦|すごいですね、1人でしてきたのですか?
渡辺|最初は1人です。教員になってからは学生や助手も手伝ってくれました。
三浦|毎月ですか、場所は?
渡辺|銀座、渋谷、原宿で、毎月1回、土日や祝日にその3カ所を回ります。
三浦|それは大変ですね。写真も自分で撮って?
渡辺|はい。これがそれです。
三浦|わー、写真上手ですね。
渡辺|そうでしょ?(笑)
三浦|はい。とても雰囲気がよくつかまえられています。
以下、特記なきものはすべて三浦の撮影

