カルチャースタディーズ研究所インタビュー 第2回
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「Roundabout」「OUTBOUND」店主小林和人さんに聞く
有用性という意味の圧力から人を遠ざけたい
インタビューと文|カルチャースタディーズ研究所 三浦展
吉祥寺OUTBOUNDにて|2026年4月6日収録|2026年7月7日公開|2/4ページ
民藝は暮らしの中での切実さから生まれた
三浦|ところで今のお店は柳宗理というよりは柳宗悦★3の世界観に近いですよね。
小林|そうですね。2006年に『芸術新潮』の「日本民藝館に行こう」(2005年7月号)という特集は買っていたんですけど、98年の「柳宗理」展を見たときの「これだ!」という感じはなかったですね。それからなんだかじわじわと柳宗悦的なものがふくらんできたというか。
でも今も「民藝」を受け継いでいるという意識は僕は特にない。もちろん民藝運動の価値観には強く共鳴するものはありますが、それは1つの価値観であって、それだけではない。
2004年からは日本の作家による手仕事に関心を持ち始めました。2008年から吉祥寺の別の場所に「OUTBOUND」という店を開きましたが、最初は今より端正な物が多かったんです。たとえば長野県の工房で作られるシェーカーボックス(19世紀アメリカのシェーカー教徒が製作した、薄い木材を曲げて作る楕円形の木製箱)とか、余白のある、すっきりした感じの物が多かったんですよ。
小林|しかし、徐々にプリミティブな方向に変化した。たとえばラオス北部で少数民族の人たちと一緒に布をつくっている谷由起子さんという女性がおられまして、実際僕もラオスまで彼女の仕事ぶりを見に行ってみて、日本の江戸時代の農村ってこういう感じだったのかなっていう、じわじわとあとまで響くような衝撃、力強さを覚えました。そういうプロセスを経て、柳の民藝へと無意識のうちに引き寄せられていったのかなと思います。
小林|また2014年から、柳がつくった日本民藝館主催の「日本民藝館」展という公募展に参加し始めたのですが、「OUTBOUND」では高知県の山崎大造(やまさき・だいぞう)氏が作った「生簀籠(いけすかご)」を出品して、大賞に相当する「日本民藝館賞」を受賞しました。それから民藝について考えることが面白くなってきました。
★3柳宗悦(やなぎ・むねよし、1889−1961) 美術評論家、宗教哲学者、思想家。日用品に美と職人の手仕事の価値を見出す民藝運動を1925年に始めた。著書に『手仕事の日本』(岩波文庫、1985)など。
