カルチャースタディーズ 30代インタビュー 第1回
- 株式会社夏水組 代表取締役 坂田夏水さん
- リノベーションを中心とする各種インテリアデザインを手がける夏水組の、若く美しい社長が坂田夏水さんだ。シェアハウス専門の不動産会社、こひつじ不動産も手がける。7月には家具のリメイクをテーマにした『夏水組のパリ風手作りインテリア』(メディアファクトリー)も出版。いま最も注目される30代の一人だ。
三浦:それは何をやったの?
坂田:吉祥寺のサブウェイでサンドイッチつくってた。
三浦:へえ(笑)。僕、サブウェイにちょっと知り合いいますよ。
坂田:へえ。吉祥寺のサブウェイは、昔、丸井の、無印の前あたりにあったの、知ってますか?
三浦:知ってる。井の頭通り沿い。今はないの?
坂田:今はないです。今はコピスのほうに移っちゃって。コピスのお店のほうにも、大学の最後のほうにいたんだけど、だから、とにかく、サンドイッチつくるの、早いんですよ、私(笑)。
三浦:今度、サンドイッチパーティしましょう(笑)。夏水ちゃんがつくるサンドイッチは、なんか一工夫ありそうだね。
坂田:きれいですよ。閉じたときに。
三浦:あぁ。ぜひ見せてください。なんか、いっぱい挟みそうだね。これもどうですか?って。
試用期間が延びて会社設立
三浦:シェアハウスは何軒くらいやったんですか?
坂田:工務店で一戸やって、不動産屋で一戸やって。
三浦:夏水組を2008年に設立したときはもう旦那さんと結婚していたの?
坂田:してないです。
三浦:彼は同級生?
坂田:同級生。同じ学科で。
三浦:夏水組をつくる前は、彼は何をやっていたの?
坂田:前は、同じく工務店で、鼻クソ真っ黒。二人で(笑)。
三浦:彼は別の工務店でしょうか?
坂田: はい。新築の、ゴリゴリの工務店で。爪も真っ黒、肌荒れがコンクリートでひどい、みたいな。
三浦:で、夏水組を一緒に。付き合ってはいた、っていうこと?
坂田:はい。ずっと大学のときから付き合っていて、お互い、工事のこととか、つらいのを共有しながら、「帰れないね、今日も」みたいな。で、お互いの現場がつらいときは、手伝うんですよ。もう竣工前とか、泣きべそかくくらい、やっぱりいろんなことがどんときて、全部自分で片付けなくちゃならないんですよ。で、職人さんには文句言われるわ、たまには怒鳴って帰る職人さんとかいて、でも、帰られると、お客さんに引き渡しできないんじゃん、ってなるじゃないですか。だから、夜中に職人さんに 電話して、○○さんが帰ってしまったので、いまから来てくれませんか、ぐすん、みたいな。
三浦:その経験があるから、下町のホルモン屋に初めて行ってもすぐ注文できるんだな (笑)
坂田:そうかも、そうかも。
注:三浦は葛飾区立石の有名なホルモン焼き屋に坂田を連れて行ったが、ハイペースで食べる坂田に追いつけなかった。かつ坂田は、酒は三杯までしか注文してはいけないその店で四杯目を注文して断られた。その店はいかにも下町の男臭い店であり、注文をすること自体に独特のテクニックが必要なのだが、坂田は入店後10分で見事に注文できた。
三浦:独立の話はいつから?
坂田:私、もう独立したいんだけど、って言ったら、夫に猛反対されて、お前は大手ハウスメーカーのプランナーぐらいだ、って言われ たんですよ。うまくいってそのくらいだって言われて。でもまぁ、そう言われれば、たしかにわかるな、と。そっち側のほうが安泰だし、子どもを産みたいんだったら、そっちのほうがいいかなと思ってたんですけど、じゃあ、3カ月だけ、試用期間で好きにやらせてください、って言ったんですよ。その間は給料もないじゃないですか。その間は、養ってくださいといって。
三浦:は?
坂田: 貯金もそのときは、あったんだけど、とにかく3カ月は試用期間で、私のご飯代とか出してください、って。
三浦:とりあえず、会社は設立したんでしょ?
坂田:最初は個人事業主。
三浦:あぁ、まず屋号で始めたんだね。
坂田:そう、屋号で3カ月始めて。
三浦:で、始めた。じゃあ、そのときは夏水組って、定款ないからわからないけど、何の会社なの? リノベ会社?
坂田:建築デザインの会社としてやりました。設計事務所じゃないから。
三浦:で、3カ月やったところ…。
坂田:すごくありがたいことに、私の力じゃなくって、私が「独立しました。3カ月試用期間です」って言ったら、お餞別物件をくれる人がいるんですよ。「これ、やれー」みたいな感じで。で、3カ月、全然もっちゃって(笑)。有難いですよね。
三浦:人徳ですね。どこでどんなのをやったんですか?
坂田:ピンクのタイルに、シャンデリアが下がっている、姫のためのガーリー部屋。ピンクの部屋。
三浦:どこにつくったの?
坂田:新宿御苑とか、代々木とか。普通のワンルーム系ですね。30平米とか。