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カルチャースタディーズ研究所は
社会デザイン研究者の
三浦 展が主宰する、
消費・文化・都市研究のための
シンクタンクです。

カルチャースタディーズ 30代インタビュー 第4回

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メゾン青樹ロイヤルアネックスオーナー 青木純さん
【略歴】1975年東京都豊島区生まれ。中古不動産の仲介実務や不動産ポータルサイトの運営を経て、2011年1月に祖父の代からの マンション大家業を継ぐ。2012年6月の日経ビジネスで「行列のできる賃貸マンションを生んだ36歳」と紹介されるなど 「賃貸カスタマイズ」を代表とする、住まい手目線の新しい賃貸のカタチを提案して業界やメディアの注目を集めている。 三浦展「日本人はこれから何を買うのか?~超おひとりさま社会」の消費と行動」(光文社新書)にも登場。

三浦:お父さんはマンションを管理するために宅建をとったの。

青木:そうです。管理するだけならいらないんですけど。ついでに何かできればいいと思っていたんだと思います。叔父と父でやっていたので。叔父はもともと日債銀に勤めていて、不動産に関しても詳しかったので、父と二人で幅を広げていくことも考えていたんだと思います。叔父が63歳で他界したんですが、ガンを宣告されて余命いくばかりかという時に、父一人では不安なので、誰か跡継ぎでやってくれないか、という話があって、宅建を持っていた僕が一番可能性があるよね、という話になり、何となくやるんだろうなと思って、叔父の枕元で「継ぐよ」と言ったら、こん睡状態で意識がなかった叔父が意識を取り戻し涙を流して握手をしてくれたんです。それが忘れられなくって、軽い気持ちだったんですけれども、やるしかないなと思って、就職はしてたんですが。不動産屋で仲介を5年半やって、その後2年くらい本部でマーケティングをやっていて、その後、転職して不動産ポータルサイトの運営に携わってまた5年間キャリアを積んでいたんですが、その会社では社長になろうと思っていたんです。ベンチャー企業の社長になってみようと。本気でそのつもりだったから、まさか継ぐとは思っていなかったんだけど。

三浦:宅建は学生のうちにとっていたんですね。

青木:そうです。

三浦:じゃあ、いずれ継ぐという意識で不動産業に就職したわけではなく。

青木:まあ、無くはないですけれど。つぶしは効くなと思っていました。

三浦:3番目の質問です。オーダーメイド賃貸と共用リビングについて。なんでそんなことしようとしたの?

青木:このマンションが建った時に、当時としてはハイスペックなマンションだったんですね。生活を楽しみたいみたいな人が集まってきていて、新築当初にテニスサークルがあったんです。24年前、88年、バブルのころです。テニスサークルがあって、毎週水曜日に近くのテニスコートでテニスやって、終わった後にみんなで飲んでたりして。

三浦:もともとはワンルームの集まりですか。

青木:ワンルームからファミリーまであります。いろんな人がいて。新築で建って人が入ってきて、いつの間にかコミュニティがあって、その中で僕も一緒に遊んだりして。賃貸なんだけど人の顔を知っている。僕はオーナーんところの坊ちゃんじゃないですか。みんな声をかけてくれるんですよ。

三浦:なんでそうなったんでしょうか。

青木:屋上を使っていたんですね。あの屋上を25年前から毎年、隅田川花火大会の日にビヤガーデンにしているんですよ、毎年。

三浦:それをやろうと言ったのは。

青木:たぶん叔父さんです。

三浦:面白い銀行員ですね。

青木:そういうのをやろうと。それがずっと続いていたんですね、だから下地はあったんですね。僕も毎年顔を出していたんですが、だんだん人が減っていったんです。それで屋上はやらなくてもいいんじゃないかなと思った。でも叔父が亡くなる数か月前にわざわざ退院してきて、浴衣着て「これだけは絶やしちゃいけない」って。

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