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カルチャースタディーズ研究所は
社会デザイン研究者の
三浦 展が主宰する、
消費・文化・都市研究のための
シンクタンクです。

カルチャースタディーズ 30代インタビュー 第2回

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建築家 らいおん建築事務所 主宰 嶋田洋平さん

三浦:(笑)。

嶋田:住むという事に様々な選択肢があるなかで、本当に新築の一戸建てを建てるという結論に達しましたか? とお話しするようにしています。そうすれば、ローンだって、35年じゃなくていいかもしれないし。そのような正直に話す人でありたい、と思っています。

三浦:35年ローンは、これからの時代、あり得ないよね。全然先が見えないのに。

嶋田:有名な大企業にお勤めの、クライアントになるかもしれない方がいらして、それこそ、代々木エリアに新築を建てたい、というお話だったんですよね。合計予算が7000~8000万円で。なのに「やめたほうがいいんじゃないですか」って(笑)。それだったら、もっと都心の便利なところに、古い家を買って、リノベーションして、半額くらいで済むという選択肢もあるかもしれないいじゃないですか、というお話をしました。

三浦:それで、客は「なんで、俺が新築建てるって言うのに、そんなこと言うんだ?」とかならないの?

嶋田:その時はなりませんでした。僕は社会に対する建築家の倫理かなと思いました。ハウスメーカーや、ゼネコンみたいに、「はい、はい、はい」って言って建ててるようじゃ、ダメじゃないかなと。そういう事をやっている以上、建築家は信用されないのではないかなと個人的には思います。ブレーキかける役目必要なんじゃないの、というか。

三浦:新築を建てたいんなら、旭化成に行ってください、と(笑)。

嶋田:切ないんですけれど(笑)。でも、建築家って、ハウスメーカーとか、ディベロッパーとか、目の敵にする人いるんですが「君、同じことやってるよ?」ってふうに思ってまして(笑)。

三浦:で、その代々木の人はどうなったの?

嶋田:その後も何度かお会いしましたが、連絡がこなくなりました。

三浦:(笑)。

嶋田:ただ、震災をはさんでいたので、おそらく、住まいに対する考え方というのを問い直されたんだと思います。

三浦:あぁ、ほかで建てたということではなくて。

嶋田:と、思います。それは嫌だ、と言われていたわけではなくて、そういう物件もいろいろ探していたりしたなかで、震災が来ちゃったんで。

三浦:古いのも探してたんだ。

嶋田:そうです。

三浦:なるほどね。でも、中古住宅をリノベーションしたいって言って、旗立てているわけでもないんでしょ?

嶋田:本当に建てたい人がいれば、お手伝いすると思います、ただ盲目的に35歳になったので家買いましょう、新築住宅建てましょうという政府の住宅政策に乗っかっていくのは、愚民化政策以外の何者でもないです。

三浦:図書館みたいのはやるんでしょう?

嶋田:公共建築はちょっと話が違うと思います。商業施設も、ほとんどの場合、特に地方は建てなくていいはずだと思います。不動産として見たときに、僕の地元にもありますが、地方の駅前の中心市街地で再開発と称して収益をあげられない建物をしかも税金である補助金つかって建てるのは犯罪行為だと思います。公共建築はちょっと考え方が違います。本当に必要な公共建築は将来にわたる管理コストがきちんと捻出できるような仕組みで建てられたら良いのではないかと思います。

三浦:バブル時代につくったいろんなものが、財政難で管理費が出なくなっているからね。

嶋田:そうなんです。今、岩手県の盛岡の近くの紫波町というところで公民合築で将来にわたる公共施設の運営コストをまかなう仕組みで建てたものがあります。そのような新しいやり方で、将来にわたって維持管理できるようにしていかないと、ダメかなぁと思います。地方の場合はとくにですけれど、この間見ていただいた小倉とか、あの商店街でも、新しいものを建てる必要はしばらくないよね、と僕は思っていまして。

三浦:すごいストックがすでにあるものね。

嶋田:再開発とか、補助金を使って、とかそういうウソには惑わされずに、あるものを使いながら次の時代につなげるまちづくりをしていくほうがいいと思って、今お手伝いをしています。

違法建築でもやり方次第

三浦:リノベ住宅の作品を教えてください。

嶋田:僕の奥さんが以前勤めていた会社の同僚が結婚されて、ご主人がグラフィックデザイナーなんです。ご主人は自分の事務所は江戸川橋のマンションの一室を借りていて、北区にご自宅のマンションがあった。仕事がお互いに忙しくて、なかなか一緒にいる時間もないし、家賃もダブルで払っているし、ということで、どこかいいところに物件を買おうかと思って探したんだけど、全然自分たちにグッとくるものがないって、うちに来たときに話していたんですね。 「予算は限られてるけど、新築の建て売りも新築マンションとかも見たんですけど、全然欲しくないんです」って。「それだったら、古い建物がのっかっている、土地だけくらいの値段になっているやつを探して、リノベーションして住んだらどうでしょう」ってお話したら、「そういうの、探してみます」って言って、自分たちが住みたいのをちゃんと探してきたんですよ。

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